メーーー

こんにちは、アキナです。

時は少しさかのぼり、これは数ヶ月前の出来事。
ちょっとばかし長くなりますが、どうぞ最後までおつきあい下さい。

ある夜、雲海山での仕事を終え自転車で帰宅。
すると家の前になにやら居る雰囲気。

がさがさ

ごそごそ

この夜はミキコさんが不在だった為、異様にびびる私。

野犬か?
はたまたバッファロー??

暗闇の中、うごめくなにか。

野犬にしてはおっきい気がする。

ガルルゥーーー

みたいなおっかない威嚇の声も聞こえない・・・

バッファローにしては小さい気もする。
子バッファロー??

にしては

モーーー

的ないつもの聞きなれた鳴き声も聞こえない。。

なんなのだろうか・・・

自転車を停め、相手に気づかれぬようそそくさと家の中へダッシュ。
滅多に走らない私がダッシュ。笑

いぶかしみながらも、
ナゾはナゾのまま眠りにつきました。

翌朝、どこからともなく聞き慣れぬモーニングコール。

メーーー

え?
メー?
メーーーってさすがに聞いたことないよ、この声は。。

勇気を振り絞って、玄関のドアを開けました。
そこに居たのは、、、

ヤギ。
野ヤギ。
野犬ではなく野ヤギ。

『ヤギですが、なにか問題でも?』
とでも言いたげな、あまりに堂々としたカメラ目線。
私との距離は1メートル。

突然のヤギの出現にビックリ。
そのご立派なたたずまいに更にビックリ。
思わずドアを閉めました。

あせる私。
落ち着こうと努力する私。
とりあえずコーヒーを淹れました。
リラックスタイムです。

そして気づく、これじゃ現実逃避だ!
きっと山の中に居た野ヤギが里に降りて来たにちがいない!
昨夜のあのうごめく影もあいつだったのか!

それならもっと観察してやろう、
と何故か若干強気になった私はふたたびドアを開けました。
そしたらなんと・・・

増えてました。
しかもよく見ると子ヤギまで連れてる!
しかもしかも他所様の家の玄関先で乳あげちゃってるし。
なんて落ち着きっぷり。
見習いたいくらいだ。

ヤギたちの動きをたっぷり観察しつつ、
野ヤギも居るか〜ランカウイだし。
と勝手にひと安心して二度寝を決行。

すると・・・

メ゛ーーー
ビメ゛ーーーーーーー

メ゜ーーーー

と野ヤギたちの絶叫する声が!
あの平和な風景に何が起こったのか全く想像もつかず、
確認する勇気もふりしぼれずドキドキしながらベッドにもぐっていると

ガン
ゴンゴン

ドン

と部屋の窓に大きな影がぶつかっている。

鳴りやまらぬ野ヤギたち!
断末魔のような悲壮な叫び!!

メ゛ーーー
ビメ゛ーーー

ただ事ではない事態が外で起きているにちがいない。。。
どうしよう・・・

と勝手に追い込まれる私。
すると突然鳴り止む甲高い叫び声。
私あせって外に飛び出しました。

目に飛び込んできた光景は・・・

1台の乗用車と車に詰め込まれているヤギたち!
運転席にはマレー人のおじさん。
助手席とうしろの席には野ヤギ。

そこで初めて気づきました。
野ヤギではなく飼いヤギ。
きっと逃げだしたに違いない。
それを飼い主が捕獲しに来たのだと。

それにしてもトラックではなくセダン。
セダンにマレー人のおじさんとヤギ沢山。
こんな光景、一生に一度しか見られない!
とヤギ事件(←勝手に命名。)の一部始終を身をもって体験した私は、へんな義務感半分ネタにしたい気持ち半分でロクに通じぬマレー語とジェスチャーで写真を撮っていいかとおじさんに尋ねる。

快くOKを頂き記念の1枚をパチリ。

ヤギたちのがっくりした雰囲気、伝わると思います。
きっと彼らにとっては大冒険だったに違いありません。
ママヤギ(と思われる)のシュンとした耳の垂れ具合・・・
子ヤギの外を見つめるうつろな視線・・・

志半ばで捕獲されてしまったヤギのキモチを思うとせつなさすらこみ上げてきます。

車を見送る私の中では完全にドナドナが流れていました。
ヤギたちの悲痛な断末魔とともに・・・

ドナドナドーナー♪
ドーナー・・・
メ゛ーーーーーーーーーーー

アキナ

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